② いかなるときも小鳥遊玲は(が)怒られる

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「…………え?」  朝日の一言に思わず箸が止まったが、それも数瞬のこと。 「朝昼と外食することは決まってたわけで、流石に夕飯は家で食べようってさ。まぁ、女子だしカロリーとかを気にしてるんじゃないかな。別にそんなの気にしなくても良いと思うけどなぁ」 「なあ、俺ら自炊できるし先に帰って作るとかは?」  俺が一縷の望みを賭け朝日に訊くと、目を伏せ短く溜息を吐き。 「……それはとっくに拒否された。なんでも女子力を磨くんだと……ちなみに料理の腕前はあれから変わりない」 「えーっと、てことは『覚悟の準備』はあながち間違って無かったってことか」 「そうなるね……そういえば真希ちゃんは料理得意だったりしないかな」 「どうだろう。姉さんがよく一緒に料理してるって写真送ってくるけど……エプロン姿のツーショットだけだからな。……正直未知数だ」  姉さんが何を意図してエプロン姿の写真を送ってきたのかそれが問題だ。  単に「かわいい娘の写真」として送ってきたのなら良いが、写真に残してはいけないレベルの料理(ゲテモノ)を作っていた可能性も捨てきれない。 「……そっか」 「これが最後の晩餐か」とため息混じりに呟くと胃を抑える朝日を横目に、俺は替え玉を注文した。  通算何度目か分からない最後の午餐を食べ終えると、俺は出来るだけ爽やかな笑みを浮かべ。
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