② いかなるときも小鳥遊玲は(が)怒られる

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 そう思い朝日を見ると、頻りに首を縦に振っていた。お前実は赤べこだったの? ※ ※ ※  それから一時間経たぬうちに朝日の家に戻ると、女性陣はキッチンへと姿を消した。  待っている間ただ席に着き何もしないのは少々気が引け、いそいそと食器を取りに行くと、美咲ちゃんに軽く肩を叩かれる。 「あ、玲さんはリビングで待ってて下さい……。今日はいつもより美味しいカレー作ってみせますので」 「……うん、楽しみにしてるね」  ソファに腰掛けた朝日に手招きされ、横に座る。そして女性陣に聞こえないよう小声で。 「……な、なあ、朝日。今日は食えるのが出てくるよな? 美咲ちゃんはなんか自信ありそうだったし……。これで蓋を開けたらコンポストとかだったら泣くぞ」 「や、流石にそこまではないでしょ。いくら美咲がアレだとしてもカレーだし。精々シャキシャキの生野菜と(おじや)みたいなライスくらい……のはず」 「ちなみになんだけど……冷蔵庫に桃とか入ってないよな」 「あー、たしか桃も桃缶も入ってたような。けど、入れるとびしょびしょで不味いことは伝えてあるから大丈夫でしょ」 「それならいいんだが……お前は不安じゃないのか?」  俺の不安に満ちた視線を受けると、朝日は髪をかきあげながらにこりと笑みを浮かべ。
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