② いかなるときも小鳥遊玲は(が)怒られる

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「……お兄ちゃん。さっき『コンポストの方が美味しい』って言ってたよね。それってどういうことかな?」 「……え」  美咲ちゃんに肩を握られた朝日は助けを求めるように視線を送ってくるが、俺にどうしろと。  いくら錯乱していたとはいえだ。  朝日が美咲ちゃんの料理をコンポスト扱いしたのは紛れもない事実。  そして、昨日俺に助け船を出してくれなかったのも事実。……けど、コンポストって最初に言ったの俺なんだよな。  美咲ちゃんは朝日をじとりと見つめて非を認めさせると、俺に振り向いた。 「(これ)と違って玲さんは優しいですね。いつも美味しそうに食べてくれて……ギャル曽根みたいに」  いや、単にゆっくり食ってたら味覚が終わるから流し込んでただけなんだが……まぁいいか。  あと、苦悶の表情を美味しそうに食ってると捉えるのは流石にポジティブすぎると思います。    まあ、なんだ。触らぬ神に祟りなしっていうくらいだし、わざわざ俺が弁明に出張るのも違うだろう。  俺は朝日に十字を切り、巻き込まれる前にカレーをよそいに向かった。  蓋を開けると想像してた以上にカレーだった。  一目でわかる程度にしっかりと火の通った肉、食べごたえのありそうな大きめのじゃがいもは男子高校生的に高ポイント。
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