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「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
なんで俺は自分の家の玄関でこんなメンチを切っているのだろうか?
相手は不審者という訳ではなく、俺より三つ年下の白磁のような肌と亜麻色の髪が特徴的な美少女。
他の表現で言うなら、姉さんの旦那の連れ子といったところか。
「……どこに行こうとしているんですか? 玲さん」
顔は笑顔だが、瞳は冷めている。一体どこでそんな技術を覚えるんだろうか。もしかして学校?
「……そ、そっちこそ、どこに行こうとしているの? ここら辺ちょっと入り組んでて複雑だし……もしかして迷子? 家まで送っていこうか? 真希ちゃん」
「ええ。家は家でもあなたの家に用があるのだけれども……」
「……さ、さいですか」
彼女が冷めきった瞳をかっぴらき、ギロリと音がするほどに睨みながら言うので俺は黙り込んだ。……流石に何回か来てるし迷子はないか。
馬鹿にされたと感じたのか、冷えきった瞳が更に冷えていく。このままでは埒が明かない。どうしたものか。
ため息をつきながら思案しているもののなかなか良い案が思いつかない。……いや、ちょっと待てよ。
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