167粒目:夢

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 話は次第に、彼女や私の夢の話へ移っていきます。  彼女との出会いは、幼稚園の時、お遊戯会で同じ主役のピノキオを演じたことに始まりました。演劇への感動を知ったきっかけとして、私が一生このことを擦り続けているように、彼女にとってもまた、このお遊戯会は影響のあったものだったようです。それから数年後、別の高校に通っていたはずが、高校演劇で思わぬ再会を果たし、「次は同じ舞台に立って演劇をしよう」と約束を交わしたのでした。  今では、様々な劇団の舞台に立つ彼女。私はそれを観に行って、演劇の生み出す感動を忘れないようにするので精一杯でした。 「舞台は、もう今年で終わりにしようと思って」  でも、彼女の夢は、演劇よりもっと先にあることを、私は知っていました。 「ずっと追いかけていた夢があるもんね」  彼女のことは大好きだし、彼女の追いかけている夢のことも、本気で応援しています。でも、こう返事をした時、私の目は狼狽えていなかったでしょうか。その後は、「そうですか」「そうか」なんて、ぼんやり呟くくらいしかできなかったような気がします。 「女は25歳くらいが潮時なんだって。だから、それまでに。焦るけどね」 「厳しいねえ」  賞味期限は近づいていることは、重々承知しています。私だってこのままでは、一年に一回、一万にも満たない短編が当たるか当たらないかの、ただの一発屋に終わります。
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