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170粒目:ペンネーム
以前も本エッセイで書いた気がしますが、「さくら」というペンネームはどうも多く、何人かで集まるとほぼ必ず同じ名前の方がいて、いちいち話の腰を折ってしまうようなことが頻発するのです。
つい先日、エブ作家さんと集まる場にお呼ばれした時のこと。
「咲蔵さんって、名前被るじゃないですか」
「ええ」
「でも、風人さんって呼ぶのもなんか違うし」
「そうですね」
本人は、桜だの風だのを冠できるような、品性のある人間ではないので、この意見はご尤もです。
久しぶりの酒にすっかり酔いの回っていた私は、こんなことを口走りました。
「じゃあ、あれでいいですよ。サノさん、とか、シローさん、とか。そしたら誰のこと言ってるのかって分かるでしょう」
というわけで、その飲み会で私は、「シローさん」呼びでまかり通る始末でした。本人も満更ではなく。
「佐野さんをモデルに小説書いたほうがいいですよ!」
「え? ああ……まあ、そりゃあ、ね……多分、モデルとして出てない作品のほうが少ないですよ」
「そうなんですか!?」
「そうですよ。だって、紛れで何かしら当たった時、作中にいなかったら困るじゃないですか……」
ご安心ください。もうこの通り、私は平常運転です。
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