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光輝は、夫として、一人の男として、完璧でも不足でもなかった。
私の隣にいて、私を支えて、慰めて時に怒って、導いてくれた。
愛してくれた。
そうして、数十年後、私と光輝の子供達が成長して、孫の顔を見届けたある秋の夜、彼は脳梗塞であっけなく、死んでしまった。
その夜も、綺麗な月明かりの中だった。
私達は、月明かりで始まって、月明かりで終わる仲なのね……。
ううん、終わらない。
多分きっと、彼は今でも、私の隣で同じ月を見ているに違いない。
永遠に、ずっと、一緒だとあの夜、約束したから。
心残りがあるとすれば、彼に気持ちを返せなかった事だ。
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