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「………、……。」
「……………」
目が合った。
何が?と問われれば此方こそそう問いたい気分だった。
まさかゴミの下から小さい子供が出てくるとは思わないだろう。
少し暗めの黄緑色の髪と、少し明るめの緑色の目の男の子は口を開くが、そこから出てくるのは掠れた、声とすら呼べないものだった。
持ち上げた絨毯の隙間から顔を出しクルテをじっと見つめており、そろそろ腕が限界で絨毯を取り敢えずひっくり返すと瞬時に男の子を持ち上げ、木の下に持っていく。
頭より先に体が動いた。雨の中長時間いたらこちらの体もやばいし、この子も冷えてしまう。
「…、…………」
「喋れないの?」
返事は来ない。頷く事も首を振る事もなくじっとこちらを見つめてくる男の子の姿は、異様なものだった。
恐らくご飯はまともに食べていないであろう痩せ細った体。
ボロボロの服は汚れきっており、体の傷跡は様々で、多種多様な人に傷つけられたのだと推測出来る。
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