天   罰

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「散々な結婚生活だったわ」 ブランコの鎖に身体を寄せ、 美幸は言った。 生活費を稼ぐため、 敦士は研究者の道を諦め 高校の教員になったらしい。 「いろいろストレスの多い職場でしょ?  すぐに身体を壊して・・・挙げ句は癌、  5年は入院したかしら・・・」 「そうだったの・・・」 私も美幸や同窓生との連絡は あの日からとってはいなかった。 今夜の通夜は 昨夜、街で偶然にあった同窓生に 聞いて知ったのだ。 「身体の辛いときね、敦士、  『お前さえ現れなかったら   こんな不幸に遭わずに済んだ。   哉子と研究者人生を歩いたんだ!』  ・・・泣いてくってかかったわ」 「・・・・・」 「子供の顔も見るのが苦痛らしいから  何年も私の実家に預けているの」 「・・・・・」 「・・・中等科のハイキングで  私が山ユリを欲しいって言ったの、  覚えてる?」 ・・・鮮明に・・・ 美幸のために泥だらけになって 山ユリを一輪、手に入れて 笑った哉子・・・。 「天罰だと思ってる・・・  優しい哉子を傷つけた・・・」 最後にそう呟いて 美幸は斎場へと戻っていった。     
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