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「うっわー、あんた、いいとこ住んでんな」
「そりゃあまあ、社長だから」
オッサンの家は超高層ビルのてっぺんにあった。
真っ白で美しい整然とした部屋は、洸がいつも掃除に苦労している、ガチャガチャした俺の家とは大違いだ。
キョロキョロと物珍しそうに辺りを見ている俺に、オッサンがふと微笑んだ。
「俺たちさ。
よくここから、夜の空を見てたんだ」
ジャッ。
そういって、閉めてあったカーテンを全開にする。
「洸がよく、自慢してたよ。星空だけはうちの田舎の方がキレイよねって。
こないだ、初めて洸の故郷に行って、本当にそうなんだって驚いた。
ずっと、洸の負け惜しみだと思ってたから」
「ああ。洸、すごい負けず嫌いだから」
ふあっ。
俺は欠伸を噛み殺した。
片道10時間の旅、そして厄介な大人たち。
今日はもう、ホントに疲れた。
オッサンがそれに気付いて言った。
「ああ、そうだ、幸太も今日は疲れてるだろ。フロに湯は張ってあるから、ゆっくり浸かってくるといい。
…そうだ、何なら一緒に入るか?
男同士、ハダカの付き合いってことで」
「は?
ヤダよ。一人で入る決まってんだろ?洸ならともかく、誰が好き好んで、オッサンなんかと」
「まあそう言うなよ。俺、幸太のこと、割と真剣めに愛してから♥️」
「…ヤメロ、俺にそんなシュミはない」
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