初恋の色

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 ────重ねられる唇。  逃れようとして顔を背けようとしても、僅かにも許されない。  拒否の言葉も、吐息も……全て吸い上げられ、抵抗する指も力強い腕で抱き(すく)められる。 「……ッ!」  嫌、止めて、と声を上げようとすればそれ幸いとばかりに口付けを深くされた。抱き竦められた腕は、押し付けられた身体は燃えるように熱い。  止めて、止めて、止めて──!  こんなことをされたら、誤解してしまう。期待してしまう。  相手は絶対に結ばれない相手。実ってはいけない想い。棄てなければいけない感情。罪の深さに(おのの)いて、罪の甘さに目眩がする。  これは一時の夢── 「澪……澪」  耳を打つ低い声に酔いしれる。この声の主に愛されていると勘違いしそうになるほど、情に満ちていた。  これは一時の夢。  覚めたあとは虚しさだけが残る、至宝の夢────……
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