第二話「美少女と毛ガニ」

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第二話「美少女と毛ガニ」

これは、今からはるか遠い昔・・・。 今から約24時間前の話です・・・。 こんばんは、チョケ川 太郎左衛門門です。 私は、普段通り仕事をこなし、 普段通り松〇の牛めしを平らげ、 〇屋を出てからは人気のない道をとぼとぼと帰るビジョンでいました。 むしろ、こうして何の変哲もない日々が 気持ちいいというか、 心地いいというか、 波風の立たない日常 なんとも、味の薄いみそ汁のような幸せでした。 ところが、今日はそうもいきませんでした。 いつも通り、デューク更家式ウォーキングをしながら とぼとぼと帰っていたら、 目の前で話す影が二つ見えました。 なんだか、喧騒のような雰囲気。 (喧嘩か…。俺の帰り道の邪魔をしないでくれよ…。) 僕は、その人らに巻き込まれないように さらにデュークウォークを加速して横を通り過ぎようとしました。 女「ねえ、ちょっと」 はい、きましたーーーーー この流れは話しかけられるよね 僕「は、はい」 女「私って美少女?」 ほにゃ? カニ「そんなわけねーって言ってるだろ、なあ、ダンナ」 僕「あっ、カニっ?カニがしゃべってる?略してカニってる?」 女「うるさいわね、さっさと質問に答えなさいヌ」 僕「わかったヌ」 女「ヌ」 僕「そもそも、美少女ってどういうくくりなの?」 女「くくり?」 僕「ほら、日本語って結構あいまいじゃん?」 女「うん、そうね」 僕「たとえば、そこのカニ」 カニ「俺のことさらっと呼び捨てにしたなお前」 僕「毛の生えている種類のカニを、われわれは【毛ガニ】と呼ぶね」 女「うん」 僕「でも、つるつるのカニに毛を植えても、それは【毛ガニ】だよね」 女「うん。うん?」 僕「逆に、ただの毛がカニになったら、それもまた【毛ガニ】ね」 女「待とう?」 僕「ということは、カニ×毛を満たすすべては【毛ガニ】と呼べることになる」 女「素敵な頭だね?」 僕「ここで、【美少女】を論じたい」 僕は鼻からマジックペンを取り出し、 靴の中からフリップを取り出した。 僕「ただの少女が【美少女】になるパターンは結構ある」 ①美しい少女 ②美しくなった少女 ③美しさが少女になったもの ④メイクが上手な女の子 カニ「ふむふむ」 僕「先ほどの毛ガニの話同様、美しさ×少女が成立していれば、もうそれだけで君は美少女認定なわけだ。」 女「わー、ハードルがぐっと下がった」 僕「ここまで来たらもうお分かりだろう」 僕は、フリップを食べ、マジックペンを鼻に戻し、 突然踊りだした。 僕「時に、言葉はあいまいである」 女「私たちどんな気持ちであなたの話聞けばいいの?」 僕「しかしながら、そのあいまいさが新しい”意味”を作ることもできる」 カニ「むっ、これは面白くなってきたぞ」 緊張感の漂う街の一角で、 僕は世界一面白い変顔をする。 僕「【美少女】は、必ず【美少女】なのだろうか?」 女「・・・どういうこと?」 僕「カニでたとえよう」 カニ「俺を都合よく使うんじゃないよ」 僕「先ほど、毛×カニという条件を満たせば【毛ガニ】になると言ったね」 女「納得はしてないけどね」 僕「しかし、毛×カニの組み合わせは、もう一つの可能性を生み出す」 カニ毛 意味:カニの毛 僕「これは、どう頑張ってもカニにはならないね」 カニ「まあ、毛だな」 女「この人たち何の話してるの?」 僕「話を戻そう」 女「脱線してたんだ?」 僕「美×少女にも、もう一つの可能性がある」 少女美 意味:少女のような美しさ カニ「・・・深い」 女「いやいやいやいや、あっさ!!」 僕「しかし、必ずや、組み合わせを逆にしたら意味が変わるかというと、そうじゃないものもある」 カニ「窓ガラス、とかな」 僕「そうそう!!窓ガラスは窓×ガラスだから、【ガラス窓】になる可能性もあるけど、窓ガラスとガラス窓は意味が同じだから、いい感じ」 女「で、私は美少女なの?」 僕「いや、お前はカニ毛」
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