第1話

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・ 午後1番の授業はサッカー。 わたしがこの世でいちばん苦手なもの。 女子たちが楽しそうに走り回る中、わたしはなんとなく周りに合わせて小走りになり、参加しているフリをする。 「ゆみっち、パース!」 「はいよー」 わたしの目の前を当然のように通り過ぎてパスが渡っていく。 なんだか、誰の目にも映らない、透明人間になったみたいだな、って少し思う。 まあ、パスとかドリブルとか、できないし。運動神経信じられないほど悪いし。 回されても、困るだけだから、別にいいけど…。 遠くでシュートが決まった。先生の鳴らすホイッスルの音が響く。 同じチームの子が集まって、はしゃいでいる。 それを遠くから見つめながら、わたしはぼんやりと思う。 ・
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