第1話

5/31
前へ
/170ページ
次へ
・ 現実を受け入れればいい。 ああいうのは、選ばれた人だけしか手に入らないんだから。 わたしみたいなのが憧れるだけ、無駄だったんだから…… ・ ・ 「ぶほうっ」 あまりに突然頭を襲った衝撃に、わたしは何が起こったのかすぐにはわからなかった。 ただ目の前の地面に転がるサッカーボールを見て、これが当たってころんだんだってぼんやりとわかった。 「もー、何やってんの男子~」 女子がわたしのそばに寄ってきて、ボールをひょいと拾うと、隣のコートで試合をしている男子の方に投げ入れた。 「おー、弾丸パス決まりすぎたわ」 「下手くそかよ!」 きゃはは、と笑う声が聞こえる。 そのやり取りでどうやら男子の蹴ったボールが女子のコートまで飛んできてしまったのはわかった。 …もちろん、わたしにかけられる声なんてない。 ボールが当たった頭部がぼんやりするけど、わたしはなんとか立ち上がった。 ・
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加