月下にて

2/2
前へ
/2ページ
次へ
何処の誰の話し声やら知らぬ人知れぬ話がどこともなくしているがそれは川中、魚たちの噂話のようである。風が吹くたびススキは揺れて穂先の方へと消えてゆく。 どこの世もさほど変わらぬ噂絶えぬ様と知れるのは月夜のなせる技。 ちゃぽん。ちゃぽん。 鮒たちはすい、すい、と川面の影のさらなる影に身を落としていた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加