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封筒に入っていたピアスは、あの日──私が友人に最後に会った日に着けていたものだった。
一月前のあの日。私は友人を呼び出して、そして──殺した。
当時、友人と付き合っていた彼を好きになってしまった私は、邪魔な存在の彼女を自殺に見せかけて殺したのだ。
その後、友人を失った悲しみを彼に相談する振りをして近付き、ついに彼を手に入れたのだった。
でも、あの手紙のおかげで、私は彼を失ってしまった。
彼を手に入れるためにあの子を殺したのに、今の私には何も残ってはいない。
私はふらふらと立ち上がるとキッチンに向かった。
戸棚を開け、おもむろに包丁を取り出すと、両手に持って一気に刺した。
ズシッと鈍い痛みが走り、やがて火に焼かれたように熱くなる。
意識が朦朧とするなか、目の前に人影が映った。
霞んだ視界に入ったのは、あざ笑うような表情をした私の友人だった──。
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