夢から醒めても。

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ふと、部屋の中に入る前に少しだけ後ろを振り返る。 そこにあるのは美しい満月と、高い塀に囲まれた大きな日本庭園。 ここは、どこにも行けない、私のお城。 その光景に、また夢の中の彼が思い浮かんだ。 『…思い出して。』 私は、彼の名前も。何度も繰り返し見る夢の理由も。そして、あの時楪の表情か哀しげなものに変わったワケも。 私は何も知らない。 だけど、 ほんと少しだけでも、 あなたに近づきたくて。 私は今日も、 思い出せないはずの彼のことを 思い出していた…。
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