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靄のかかったような頭の中を整理しようと、しばらく庭を眺めていると、
「お嬢様。こんな所にいらしたのですか。」
と、馴染みの顔が現れた。
風邪をひきますよ、と私の肩にブランケットをかけ、優しく微笑む彼は、私の幼馴染であり今は使用人の1人。
「今日は、満月が綺麗ですね。」
使用人の彼、楪 卯多(ゆずりは うた)は、そう言ってとても綺麗に笑った。
その笑顔は、やっぱりどこか遠くて、ひどく悲しい。私たちが幼馴染じゃなくなったのは、一体いつだったのだろう。
きっと、ずっと変わらないって。そう笑いあえたあの日は、いつの間にかどこかに落としてしまったようだった。
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