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「大丈夫?持とうか?」
それが彼が言ってくれたことだ。彼と私はその時ちょうど目と目があった。彼の目は夜のような黒さで私はどことなくその目をじっと見ていた。けれど、私は我に返り立ち上がった。
「えっと…同じクラスの宮本君だよね?」
私は質問をした。
「ああ、そうだが。」
彼は丁寧に私に返してくれた。
「ほら。少し貸せ。僕も持つ。」
その言葉に私は衝撃を受けた。今まで誰一人として私を助けてくれなかったのに、彼は私を助けてくれるのだ。けど…
「…気持ちはありがとう。けど私は大丈夫。だから、教室に帰ってていいよ。」
彼に迷惑をかけるといけないから私は彼の手伝いを断った。
「いいよ、別に。僕は桜さんを助けるために来たんだから。」
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