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1 ヒートを起こしたつがいを助けにいったら、詰んだ……
【まえがき】
このお話は、ラルーナ文庫「真面目なアルファさんをオメガが熱愛します」の番外編です。
文庫もこの番外編も、「攻めが恥ずかしい目に遭う話」です。この萌えについては、最後のあとがきで語ります……!
以下、ラルーナ文庫「真面目なアルファさんをオメガが熱愛します」のあらすじです。
白藤綾斗はオメガの派遣プログラマー。プログラムが大好きで、一生この仕事をしたいと思っている。
不遇な境遇の中、そんな希望を持てるようになったのは、派遣先の会社であるラボシステムで、すばらしいプログラムに出会えたからだ。そのおかげで綾斗はプログラムがめきめきと上達し、今度、正社員になれることになった。
その人生を変えてくれた、すばらしいプログラムの作成者の名は九条重春。社長の息子でアルファだが、綾斗が入社する前に別の会社に移っており、綾斗はどんな人なのか知らない。
綾斗にとっては、九条はプログラムの神様であり、自分とは違う次元に住んでいる。そんな感覚だったのだが、なんと仕事でその九条と会えることになる。
そして、その仕事の打ち合わせの最中に突然ヒートがきたのがきっかけで、「誰もつがいにする気はない」と言う九条と交流するようになり、紆余曲折の末、二人はつがいになった。
ところが、その過程で、九条の完璧じゃないところや弱さを見た結果、綾斗は「かわいい九条」が大好きになってしまい、九条が本来の強さを取り戻した今も、九条のかわいいところを見られると喜ぶ(つまり恥ずかしいプレイをしたがる)ようになっていた。
※ここから、「真面目なアルファさんはつがいを満足させるまでアダルトショップから出られません」が始まります。
定時を過ぎた頃、九条重春が会社に戻ってくると、見知った顔と目が合った。
「よぉ」
喫煙所で煙草を吸っていた中年の男に声をかけられる。前の会社にいた頃、九条に「いつでもうちに来てよ」と声をかけてくれた横沢という営業の男だ。九条がここに入ってからしばらくして、横沢は支社に異動になったため、以後会っていなかった。
「ご無沙汰しております」
九条は笑って返し、喫煙所に入った。他には誰もいないので気兼ねなく話せる。
「結婚するんだって? おめでとう」
「ありがとうございます」
「相手の人はオメガ?」
「はい」
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