出会い

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出会い

僕は大学の教育学部の2年生だ。でも大学に通い続けることが難しくなった。 原因は某王国の王子様だった。王子様は僕にご執心で、ひっそりと過ごしたい僕を見逃してくれない。 僕は黒ぶち眼鏡にバサバサの髪、服は白ポロシャツとジーンズをユニホームのように毎日着てる。 この外見はお金がないから、仕方ない。眼鏡はかけ始めた中学生の頃から、同じフレームを使っている。髪がバサバサなのは3カ月に1度、1000円カットの理髪店に行くのかやっとだからだし、ポロシャツとジーンズがユニホームなのは色んな服を買うほど、お金に余裕がないからだ。 こんな僕をなぜ殿下は追いかけるのか? 自分の第2の性はおおっぴらに話すことはマナー違反とされているが、αは長身で優秀なことが多いから、なんとなくわかる。大学にはαが一握りの他は殆どがβで、Ωは極少数しかいない。 王子様が僕にご執心なのは、運命の番だからだそうだ。 「サイード殿下、少し離れてください」 「湊(みなと)の側を離れられる訳がない。どうしても離れて欲しいなら、番になると言え」 褐色の肌に彫りの深い顔、長身で鍛えられた逞しい体。サイード殿下は高校時代にアメリカに留学して飛び級で大学を卒業すると、日本の大学に3ヶ月間の予定で留学している。サイード殿下のお母様が日本人だから、日本語に堪能だ。 サイード殿下が望めば、どんなΩも手に入りそうなのに、何故平凡で、愛想がない僕が運命の番なんだ!  恋愛経験のない僕は、どうかわしたらいいのかもわからない。
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