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一緒に廊下を歩いていると、澪はくるくると巻かれた毛先を指にからめながら、なんだか機嫌が良さそうにしていた。
「なんか、機嫌いいの? だから気持ちが大きくなってんの?」
「ま、そんなとこかな? ねえ、玲香って好きな子いないの? 絵里も彼氏いるし、入学して二か月ちょっとだからまだ彼氏いる子は多くないけど、好きな子いる子は結構いるよね?」
「男子? 今んとこ、そういうの興味ないかな。なんか、面倒くさい」
「えっ? なにそれ。結婚生活にくたびれたおばさんじゃないんだから」
今日は特別機嫌がいいのか、本当におかしそうにケラケラと笑っている。
「玲香だって細くてボーイッシュだけど美人だし、冷めた感じがあるけど笑うとそのギャップがまた可愛いし。そういうの上手く使って見せると、モテること間違いなしって思うけどな」
「別にうまく使う気もなければ、モテたいとも思わないから」
「もう、クールだねえ。本当に。ま、いいけどね。でも、男子がいる生活は楽しいよ」
今でも男子を拒否はしていないし、普通に生活の中にいるんだけどね。ただ、お互いに恋愛の対象になっている人がいないだけで。
そんなことを考えてみても、きっと澪にとって男子というものは恋愛の対象でしかないのだろう、と思えて、考え方の違いは埋まらないだろうと感じていたから言葉にはしなかった。
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