一・ルームメイト

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 その日は小雨が降っていた。  窓に雨粒が伝って流れていくのを見るのが好きで、私は何をするわけでもなく、ただ窓を見つめていた。  ドアをノックする音がして振り向くと、「佐山(さやま)さん、ルームメイトが到着したわよ」という声とともに寮長である北嶋先輩が入ってきた。 「返事してから開けてくださいよ、いつもいつも」 「じゃあ、カギをかけておきなさい」  遠慮のない北嶋先輩はどこか憎めなくて、なんとなく気を許してしまっている。カギは部屋にいるときはかけない習慣だけど、それもルームメイトによっては変わるのだろうか。  北嶋先輩の後ろから、長い髪をキレイに毛先だけ巻いて、色白で長いまつげの大きな目が印象的の、大人っぽい綺麗さと少女のような可愛らしさを併せ持ったような美少女が入ってきた。 「今日から入寮した、望月澪(もちづきみお)さんよ。望月さん、ルームメイトの佐山玲香(さやまれいか)さん。じゃ、佐山さん。あとはいろいろと教えてあげてね」  そう言うと私に押し付けるように彼女を置いて、北嶋先輩は去って行った。  澪のことは知っていた。  クラスは違うけれど本人も友達もとっても華やかだから、入学当初からかなり目立った存在だったから。  
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