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「じゃ、私のことをなんで知っているの?」
「んー、たぶん、かなり華やかな感じだからかな? この学年では一番じゃない? それに、サッカー部のマネージャーしていてそこに彼氏もいるよね? 石坂君。中学が同じだったんだよね。だから、望月さんのことも知っているの」
「ああ、そう」
納得したように頷くと、澪は急に気が付いたように目を丸くした。
「和也と同じ中学ってことは、ここって地元だよね? なんで寮に入ってんの?」
それは入寮当時にしょっちゅう聞かれたことだったから、若干うんざりする質問だった。
「家庭の事情ってやつ。望月さんこそ、なんでこのタイミングで入寮なの? もう六月だよ」
「こっちも家庭の事情ってやつ」
澪はそう言うと、表情を崩してほほ笑んだ。
「望月さんじゃなくて、澪って呼んで。ルームメイトなんだし」
「……わかった。じゃ、私は玲香で」
気が合うとは思えなかったけど、問題が無ければ三年間同室になるから、とりあえず仲良くできるに越したことはないだろう。
そんなことを思いながら、私もつられるように微笑んだ。
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