第十話

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みんなすごい。 「いたー」「来たな、女神」「女神、誰?」「苺ちゃん」 へー 「こっちよね、差し入れ?」「はー、重いよ」 三年は亮の事を覚えているから、先輩と言って寄ってきた。 それからぞろぞろとОBたちが集まってきた。 みんなが頑張れという。亮たち先輩は、みんな試合を見に散らばっていった、そう、彼らに後で見せるのだ。これから当たる学校と、もう二校のうちのどちらかが上がってくる。それは昨日見た試合でしっかりイメージトレーニングしている。 先輩たちは、明日、そして来年の事を考え応援してくれるのだ。全国大会は夢のまた夢だった、それを後輩がかなえてくれた、それだけでうれしいと彼らは言っていた。 放送が鳴り、やっと川端先生が来た、彼たちは、ちょうどいい位にじっとりと汗をかいていた。 「準備はいいな」「はい!」 「悔やむなよ、全力で行け」「はい!」 「行くぞ!」「はい!」 すごい人だ、入っただけで拍手が起きた。 カメラは、選手ベンチそばで亮がスタンバイ、苺が手を振ってる。 みんながコートに入り、ウォーミングアップを始めた、川端先生は相手チームの先生と握手していた。 さすがに、ここまでくるとかくが違う。地区予選で、東京からは三チーム出た、それだけでも夢の舞台なのに、今全国の壁に立ち向かっているのだ、本当にすごいことだ。 カメラはここぞとばかりに、生徒と先生を撮っている。 試合中はフラッシュによる撮影禁止が急きょ決まり、ビデオ以外、スマホも禁止となった、みんなが胸をなでおろした。 時間五分前、撮影が禁止の放送が鳴り、厳しく取り締まるため、退場していただきますと言われ、生徒たちの周りには、警備要員が配置された。 「プロみたいだな」 「その気になっちゃうー」 まったくあの子は、それでもみんながリラックスするならそれの方がいいだろう。 集合の合図、メンバー発表。 イケイケで押さなくては、相手は強豪校だ。 試合が始まった。 先日と同じ、二年生だけが先に出た。 こっちは準備万端だ、とにかく怪我だけはしないように祈る。 「イケー、行け、回せ、先に点入れろ!」 「速攻‼速攻!」 川端君の声が響くと動きが変わった。 相手チームも研究はしているはずだ、一年の三人は注目されている。 でも聞こえた声は、出さないという声だった、中心はあくまで、三年生。補欠も二年の子は外れて三年生が入ったりもしている。 開始、五分で四点差、まだ平気なようだが、そうじゃない、こっちがリードしなければ終わる。 「かえていく、三年、一人ずつ外すからな」 「はい」 三年の部長が外れた。
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