封筒

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 硬さを感じさせる最大の原因は、封筒の縁に当たる部分と中央の張り合わせ部分。  この二か所に包丁を入れていく。  縁の部分から真ん中に向けて、両側から二本。位置をずらして張り合わせの部分に一本。交互に、均等に包丁を入れていく。  ざりざりという音に鱧の骨切りを思いつつ、慎重に包丁を入れ進めていく。  やがて七夕飾りの天の川のような状態の封筒が出来上がった。  手に持つと程よく垂れ下がり、十分に柔らかい事が分かる。  衣は軽くするために、やや緩めに作る。  これにさっとくぐらせてから、軽めの油でさっと揚げてやる。  こういう時に重宝するのがこめ油だ。  仕上がりの軽さは折り紙付き。しかも余計な風味もつかない。  エアメール用の封筒であれば、少しパンチが足りないのでごま油なども良いかもしれない。  だが、この封筒にそう言う気遣いは無用だ。封筒その物に力がある。余計な足し算はしない方が良い。
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