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妻からの手紙
春先のことだった。
日差しが随分と暖かくなった休みの日のことだ。
散歩がてら出かけた買い物をして帰ってくると、ポストに手紙が届いていた。
白い封筒にコバルトブルーで書かれた僕の住所と名前。
裏返して確認するまでもなかったが、やはり差出人は妻だった。
単身赴任先で一人暮らしをしている夫、即ち僕に宛てた妻からの手紙。
僕は久しぶりに心が躍るのを感じた。
単身赴任になって三年。
忙しさにかまけて、殆ど家には帰れていない。
たまの電話と、そして彼女がくれる近況を伝える手紙だけが、僕と家との繋がりだった。
今時手紙、と思うかもしれない。
だが、人の手で思いを込めて書かれた手紙には、そこにしかない味がある。
僕はそれがたまらなく好きだったし、そんな僕の為に手紙を書いてくれる妻の事を心から愛している。
良い酒があった事を思い出し、この手紙を肴にして昼酒と洒落込むことに決めた。
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