便せん

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便せん

 さて、いよいよ便せん、つまり手紙本体だ。  便せんの質も大切だけれど、味の決め手は何といっても中身だと僕は思う。  思いを込めて書かれた手紙というのは、噛み締めた時に出てくる味がダイレクトメールなんかとは全く違う。とても味わい深く、濃密だ。  残念な事に、最近では大量生産の手紙が主流になってきて、どんな味にでも合うと持て囃される傾向がある。けど、僕は違うと思っている。どんな味にでも合うのではなく、その物の味が無いんだ。だから食べていてとてもつまらない。  やはり自分に宛てて誰かが書いてくれた、思いの詰まった手紙が僕は一番旨いと思う。
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