過去[3]

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過去[3]

19歳の誕生日、私はまた奇妙な夢の世界に入っていた。 明晰夢の中でもどうやら種類があるらしく、その日の鍵はスマホだった。 その鍵になるものによって夢の種類が変わってくる。スマホが鍵になる時は必ず自分自身を映し出す夢になり、上から見下ろすような見え方になっているのだ。 その日の夢の中の私は15歳の誕生日を迎えていた。 食卓を囲うお父さんとお母さん。そして私。そして… 角っこで良くは見えないが、どうやらもう1人いるみたいだ。 そうだそうだ。思い出した。 この日は確か、隣の母屋からばあちゃんが来てたんだっけ… あれ?いや、それは14歳の時だった気もする。 記憶が曖昧だ。 真ん中に私の誕生日ケーキがある。 丁度火をつけるところ。 お父さんがライターを使ってロウソクに火を灯す。 流石に15本は多すぎるからと、15の数字の蝋燭にしたんだったっけ… それにしても昨年まで14本ものびっしりと刺された蝋燭を当たり前のように消していたんだなと、こう客観的に映し出されることで面白いものだと感じることも出来た。 けれど、やはりおばあちゃんが来たのは、その幾本もの蝋燭が立っていた時だった気がするのだけれど… ケーキも無事食べ終えると、毎年恒例のプレゼント大会だ。 私はお父さんから大きな箱を、お母さんからは音のなる誕生日カードを、そしておばあちゃん?…からはまたしても大きいもの。それは見た感じ丸っこくて、大きめの袋に入っていた。 まず、お父さんのプレゼントから。 その箱の中には、以前から私が目を輝かせて眺めていたPRADAのバックが入っていた。この頃の私はと言うと、とにかく綺麗な大人に憧れていて、こういうブランド物がかっこよく見えていたマセた子供だったのである。 いつも反抗期と思春期で照れくさくそっぽを向く私もこれには嬉しさを隠せず、照れくさそうにお礼を言う。と言っても、私の反抗期は別に大したものではなくて、周りに置いてかれるような感覚が嫌で何となく流されていただけのようなものだったのだから、お父さんもお母さんも多分何とも思っていなかったのだけど… 「もう優子も来年から高校生だからな。こういうカバンのひとつくらい持っていたって良いだろう。父さんものすごく頑張ったんだからな?」 「う…うん。大事にするよ」 私は目を合わさず、少し顔を赤らめた。 次にお母さんからのバースデーカードだが、この歳にもなってバースデーカードだなんて…と思ったら中には何やら小さな封筒が入っている。その中からは2000円分のQUOカードが入ってた。 QUOカードは確か薬局でも使えたはず。 私は密かにそれでどの化粧品を買おうか悩んでたっけ。大したものを買った記憶はないけれど… ちなみにメッセージカードの音楽は、あの有名な誕生日ソングではなく、何故か世界に一つだけの花だった。まあそれもジャニーズオタクのお母さんっぽいと言えばその通りなのだけれど… そしてもうひとつ。1番気になるあの大きな袋である。 中は厳重に見えないようになっている。 とりあえず実際手にするまで丸い形から連想してバスケットボールかなと思った。 何故なら私は中学時代バスケ部に所属していたからである。 と言っても、うちの中学の唯一の強豪である男子バスケ部のマネージャーだが… けれど、持った感じはボーリングの玉かというくらいにずっしりしている。 ボーリングなんて、小学校の頃家族で何回か行ったことがあるくらいなんだけどな… おばあちゃんっ子の私はとりあえずにこりとしてお礼を言うと、その袋を開けてみた。 すると袋の中にはまた袋が入っている。 それも中の見えない真っ黒い袋だった。 それを触った感じ、よく包装資材として売られているあのプチプチの感触が伝わってくる。 そんなに厳重に包装しなければいけないものなのだろうか… そしてそれを外側の袋から出した瞬間… 私は現実世界へと引き戻される。 何故かは分からないが、布団は私の寝汗でびっしょりだった。 時刻は早朝4時頃。日もまだ出ていなく、起きる時間ではないことは確かだった。 寝汗からなのか背筋がゾクッとする。 一体あの中身は何だったと言うのだろうか。 それと気になることがもうひとつ。 それは現実世界へと引き戻される感覚を持った時、声が聞こえた気がしたのだ。 『かわってよ』 そう言う女の子の声が。
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