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過去[2]
18歳の頃、私ははじめて自分のスマホを自分で買った。
流行りのiPhoneだ。
左側に音量のボタン、右側に電源ボタン…
画面の中央下には丸いポッチがある。
基本はそこで電源を入れたり消したりする。
バイト代を費やして買ったお気に入りだ。
そのiPhoneを手にして少し経った頃のこと。
1件の不在着信があった。
○○○ー○○○○-○○○○というよく見るような携帯の番号。
けれど知らない番号だった。
私はその番号をネットで調べてみる。
すると、電話帳サイトのようなものの他に、ひとつの怪しげなサイトが出てきたのである。
興味半分にそのサイトを恐る恐る開いてみると、真っ黒い背景に中央にはひとつの動画。
その動画は更新中のマークが少しの間クルクルと回り、勝手に再生されたかと思えば衝撃的映像が流れたのである。
10数秒の動画の中で、ひとりの老人が何やら叫んでいる。
口が動く。その口の中は真っ赤、もしくは真っ黒に染っていた。
おあえおえいあ…おあえおえいあぁぁ…
そう聞こえたように思える。
私はすぐさまそのページを閉じた。
なぜなら、その老人が昔、小学校時代に見覚えのあったあのおじさんにそっくりだったからだ。