微睡みの中のストーリー

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微睡みの中にひとつ、時にたくさんの物語が映像として生まれる。設定も話の流れも自然な時(後から思い返すと所々可笑しい)もあるが変梃なものが殆どだ。 最近、夢を見る。大人になり夢を見ることは減ったが、ここ数日眠ると必ず夢の中に落ちていく、眠りが浅いのか「小説のネタになりそうだな」なんて考えながら見ているものが多いが目覚めた頃には夢は記憶からも消えてしまっていて、簡単に思い出すことはできない。 今日も原稿用紙を前に先ほど見た夢を思い出そうと頭を抱える。大学に入って半年、月に二回ほど千数百文字程度の小説を提出しなければならない、次の週は前に出したものの合評会をする。それまでに読んで来いと言われた自分含め他の生徒達の作品が原稿用紙の束となり配布された。夢を思い出せないし台風が近付いている今、外に出る気にはならないので読むことにした。一人原稿用紙四枚ほどの作品である。様々な書き方がありとても勉強になる。たまに字が汚い人がいて読む気が失せる時もある。今回も面白いと一人からでも評価されるといいななんて思いながら目を通しているとあるたんご目に入り夢のことを思い出す。 「花火を見たんだ。」 ふいに口にした言葉、自室で良かったと思う。リビングなどで呟いてしまえば家族から言葉の意味を問われるだろう。 花火、花火を見たが今日見た夢にどう繋がるのかは思い出せないままである。脳のどこかに夢メモ機能があればいいのに、そうすれば夢で見たことを話のネタに使えるのに、だけど疲れが溜まっているので一度だけでも夢を何も見ることなく久しぶりに深い眠りについてみたいものだ。
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