明け方

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   下着姿で、頭を掻き毟り、お尻をぼりぼりと掻きながら、歯ブラシを咥える。  お尻の肉がプルプルと揺れるのを感じ、太陽が昇り切った状態になっても、まだ寝ているクズを見下す。  歯磨きが終わり、黒っぽい服を着て、まだ寝ているクズを放置し、部屋を出ようとする。 「今日もインチキ占いで荒稼ぎか」  いつの間に目を覚ましたんだ、このクズは!  そのインチキのお陰で、何とか生きて行くことが出来ているんだろうが。  クズが布団の中でゴキブリのようにゴソゴソと動きながら、疲れ切った声で問いかける。 「部屋の掃除と夕食の準備だけはよろしく~」  冷たく言い放ち、部屋を出て行く。  あのクズが働くことはない。 後で毒でも盛って、たっぷりと苦しめて、殺してやるからな。  街中を歩き、適当な所にシルバーのシートを敷き、怪しげな品物を幾つも自分の回りに陳列していく。売り物じゃないよ。雰囲気作りだよね。  バカな連中は雰囲気に飲み込まれやすいからね。  特にこの紫色のガラス玉は効果的だね。これを中央に置くだけで、効果は覿面。バカな連中が光に集まる虫みたいに集まり出してくる。  後はアラビアンナイトよろしく、黒いヴェールで顔を隠せば出来あがり。  人なんて適当に話を聞いて、その中から断片を拾い上げて、自分なりの言葉を付けて返してやれば、勝手に納得をしてお金を置いて、いなくなってくれる。  便利な生物だよね。  心理学だけは得意だったから。  今日も楽勝だね。  適当なことばっかり言っているから、いつも場所を変えているし~。  
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