灰色の散文

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   俺は今日も駅前でアコースティックギターを派手に掻き鳴らす。  ピックを握り、単調なリズムで構成されたリフを激しくカッティングし、やたらと哲学的な歌詞を叫び続ける。  殆どの人間がスルーしていきやがる。  本当の音楽を分かる奴なんていやしない。  百メートルくらい離れた所で、若い奴が柔な音楽を奏でている。  やたらと人が集まっている。  音楽の本質を理解出来ない豚どもらしいな。  俺のようにナイフのような切れ味のある詩を書いてみろ!  お前には無理だな。  柔な歌がお似合いだよ。  リズムが違うんだよ。  激しいリズムと絡み合った魂の叫びのようなメロディーこそが、真の音楽を語る事が出来るんだよ!  分かっているのか!  
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