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サークル打ち上げ
講義が終わって拓也が寄ってくる。
「悠斗、今日この後サークルの打ち上げだってよ。行くでしょ?」
そうだった、でも打ち上げって気分じゃない。
「俺、パスするわ」
「へぇ、パスでいいの?」
何か知っているという意味ありげに意地悪な顔する拓也。
「な、なんだよ」
「打ち上げに凜ちゃんも来るって言ってたし、佐野も参加するってよ?いいの?ほっといて」
ふふっと含み笑い。
それは、それで心配だ……。
「わかった!行くよ!」
半分やけになりながら、打ち上げの場所へと拓也に引きずられながら、ついていった。
打ち上げの場は最悪で、俺の隣は拓也で、離れた席に凜と佐野が隣同士でくっついていた。
会話は聞こえないが、仲良さそうに見える、が…たまに凜が困ったように俺に視線を流してくる。
はぁ…小さなため息をつくと、拓也が欠かさずチャチャを入れてくる。
「そーんな熱く切ない視線を凜ちゃんに送っちゃってぇ」
ぶはっと飲んでいたレモンサワーを吹き出す。
「うるせぇ、そんな目で見てないし!」
「あーぁ、凜ちゃん佐野に絡まれてんじゃない?助けてやれば?」
「助けてばかりじゃダメだ、自分でもかわせるようにならないと」
そんな事を言う悠斗に拓也は苦笑いした。
打ち上げも終わり、ガヤガヤとサークルの仲間が店の外に出始めた。
二次会のカラオケに行く同士集まり、そのまま帰る人と別れる。
少し離れたところに凜と佐野がいた。
佐野が何処かに誘っているようで、凜は帰ると言っているようだ、そのうち佐野が凜の手をとり連れて行こうとした。
それを見て俺は──
ちょっと、待ったーー
心の中で叫ぶ。
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