凜は、おれの、

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凜は、おれの、

「凜……」俺は声を掛けると凜が俺を見る、困ったような眉尻が下がった表情を見せたかと思うと、泣きそうになっていた。 凜と佐野の近くまで行き、凜に 「帰るよ」と低いトーンの声で呼ぶ。 それを阻止するかのように佐野が 「なんだよ、悠斗…横から入ってきて…今から凜と2人で次の店に行くから」 悠斗は佐野の言葉を無視して、凜を連れて行こうとした。 ちょっ!待てよ! 佐野に呼び止められ悠斗は 「佐野、お前は他に好きなやつ出来たって言って凜と別れたの連れ出すってないだろ?」 悠斗に言われて何も言えない佐野は苦笑いし、苦し紛れに言い返す。 「悠斗だって関係ないだろ?」 「凜は、おれの、だ……」 悠斗は凜は渡さない、そんな想いをぶつけた。 凜は、今、何て言ったの? 目を大きく見開き、悠斗を見た。 「凜、帰るよ」 悠斗は凜の手を繋ぎ、その場から去って行った。
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