光が重なるとき

1/1
前へ
/14ページ
次へ

光が重なるとき

 凜はゆっくりと瞼を開け、俺の顔を見ているのか視線が定まらない。  ふんわりと赤く染めた凜の瞳の中に大きな月が映っていて、キラキラと輝いていた。 「満月…」ポツリと呟く。  数週間前も満月だったはず、もしかして今日がblue moon(ブルームーン) 奇跡の満月  blue moonが現れるまでに自分の気持ちを凜に伝えようと考えていた。  そして悠斗は、blue moonの夜に愛を誓おうと、バイトを増やし、凜に渡そうと考えていた贈り物がある。  自分の首にかけていたチェーンの指輪を外し、凜を白く輝く満月の方に向かせ、俺は後から凜を抱き締める。  その指輪をblue moonにかざし、満月の輪郭に指輪を重ねた。  2人で見た満月と指輪の重なりは満月の光を吸収しているように指輪が綺麗に光って見えた。 「……きれ、い…」 凜がうれしそうに呟く。 その指輪を凜の細い薬指にはめた。 「凜、これからはずっと一緒にいような」 blue moonに愛を誓う── 完結
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加