交信

3/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「よくわかりませんが、楽しそうですね」 「きみはよう一人で生きてきたな、寂しないの?」 「寂しいを理解できません」 「そうやな。そら、何百年も何千年も一人でおったら、寂しいとかそんなんいうてられへんわな」 「この星が生まれてずっと一人です。そしてこれからも一人です。阪神タイガースにはなれません」 「タイガースにはならへんのや。俺も。でも一緒に応援してくれる、仲間とかそういう友達とかおんなじ生き物がおるんや」 「仲間ですか?」 「そうや。君は一人かもしれんが、隣の星とかに君みたいな人住んでないの?」 「わりません、隣の星に行ったこともないし、行き方もわかりません」 「見た感じどう?居りそう?」 「みてもわかりません。この星の外に出たら、わかるかもしれません」 「行ってみたら居るかもしれんな。二人になったらキャッチボールぐらいはできるから。試してもええと思うで。俺は」 「外へ。ですか?」 「そうや。今日で阪神タイガース三連勝や。ツキはこっちにある。ええことが起こりそうな予感しかせえへん。今日は祝杯や。発泡酒なんかやめて本物のビールや。乾杯や!」 「楽しそうですね」 「当たり前や。阪神ファンはやめられん。君もはよ、外に出て阪神ファン見つけて、祝杯あげたって」 「わかりました、そうします」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!