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映し出される真実
そして今の私は――指定席であるベンチに座って、彼を待っている。
私の方が先に来ているから、彼を待つのは当然のこと。
彼を待つ時間はとても愛おしく、生き生きとした気分になれる。だから待つことに苦はない。
やがて……約束の時間が来た。
彼が、やってきた。いつも通りに私の名を呼んで。
思わず笑みが零れた私は彼に駆け寄る。
そして楽しい時間が私達を包む。
――そのはずだった。
私は彼を待つ時間が愛おしすぎて。
彼と会ったことが嬉しすぎて、気づかなかった。
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