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ここでアニメや漫画だったら、私が感情をぶちまけて、それを彼が理解してハッピーエンドになるパターンだろう。
だけど現実と創作は違う。
あの顔を、あの目を……後ずさりするその姿を見てしまえば、何も言えなくなってしまうのだから。
拒絶――直感でそう感じてしまうほどに。
それを感じたことで、私の心は痛くなった。痛くて、痛くて……とても苦しくなった。
私は、人並みの幸せを手に入れることはないのだと。
そう思った時、私の目は無意識に涙を溜めていた。
その涙は徐々に溜まっていき、私の頬を流れる。
頬を伝った涙は、顔から離れて地面に向かっていく。
私の想いが……心が詰まった結晶が。
月の光で輝きを得た涙は、だけど地面に落ちてその輝きを失った。
その瞬間、私は彼に最後の言葉を告げてその場から去る。
光が嫌いな私が、輝く幸福を望んだ罰として。
夜に生きる者が光の中に行くことがないように……そう、思って。
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