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エレベーターを降り、由衣ちゃんと瑞穂ちゃんは、そのまま帰った。
私と沙織ちゃんは、口直しに、ちょっとお茶して帰ろうと、カフェに入った。
冷たいカフェラテにガムシロップを入れ、ストローで混ぜながらの、女子トーク開始。
「……ほんと、ごめんね。まさかこんなことになるなんて。」
と、沙織ちゃんは、何度も何度も謝ってきた。
「ある意味楽しかったし、気にしないで。社会勉強、社会勉強。」
と、沙織ちゃんを励ましながらも、私にはずっと気になっていたことがあった。
「あの、メールの人が佐々木さんなんだよね?」
と、その、気になっていたことを、沙織ちゃんに尋ねた。
「うん、そうそう。もう、メール送らないわ。これじゃ、詐欺じゃん。」
むぅっ、とした表情になった沙織ちゃんが言う。
「二十六って言ってなかった? 沙織ちゃん、それ信じたの?」
と、私は聞いた。
失礼だが……どう見ても、佐々木さんが二十六には見えなかったからだ。連絡先とコーヒー無料券を渡されたとき、沙織ちゃんは佐々木さんの姿を見ているはずなのにと、私はずっと、ずっと、気になっていた。
すると沙織ちゃんは、うーん、と少し考えてこう言った。
「ほら、老けてる人っているでしょ? 佐々木さんもそうなのかなぁって。」
「……そう、だね。」
私はその答えを聞いた時、本当におかしくてしょうがなかった。
これが、天然というものか。
一生、かなうことがなさそうだと思った私は、混ざりきっていない甘いカフェラテを、ずずっと一気に吸い込んだ。
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