7 バイバイ、課長

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7 バイバイ、課長

  課長が消えて4日が経った。  毎日課長を探し歩いた。彩さんの大学に行ったり、会社の周辺に行ったり、彩さんや沢木にバレないように二人の尾行をしたり。だけど、課長はどこにもいなかった。  もう私に会いたくないと思う程、私の告白が迷惑だったんだろうか。  それとも、もう未練が消えて、あの世に行ってしまったのか……。    いや、まだ課長はこの世にいる。  きっと、私の事が嫌になったんだ。  そんなに私の事が嫌い?  私の事がかわいいとか、気が合うとか、茶飲み友達とか、言ってくれたのに……。  手だってつないだりして。  全然私と一緒にいて、嫌そうじゃなかったじゃない。  酷い。いきなりいなくなるなんて。  ふつふつと怒りがこみ上がる。  思いっきり、クッションを壁に投げた。    課長に腹が立って仕方ない。  だいたい課長は自分勝手よ。  彩さんと沢木の事だって、二十歳の年齢差がなんだって言うの!  許してあげればいいじゃない。好き同士なんだからいいじゃない!  テーブルの上の物も全部投げた。ティッシュケース、本、リモコン、ペットボトル、ボールペン……。  どんなに投げても気が治まらない。悔しくて悲しくて、寂しかった。    なんでいきなりいなくなるの。    なんで死んじゃうの。  課長、出て来てよ。  会いたいよ……。
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