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女子トイレ前で並んでいると江里菜も来た。
うっとうしい。なんでついてくるのよ。
「島本さん、本当に課長の事好きじゃないんですか?」
酔った江里菜が同じ質問をしてくる。いら立ちが頂点に達する。
「あんなおじさん好きな訳ないでしょ! 課長と私、いくつ年が離れてると思ってるの!!」
つい声が大きくなった。
そのタイミングで隣の男子トイレから出て来た課長と目が合う。
切れ長の目が驚いたように見開いていた。
うわっ、気まずい。絶対に課長に聞こえている。
「お疲れ様」
課長はそう言って通り過ぎた。課長の表情が冷たく見えた。
「さすが課長、涼しい顔でスルーですね。多分、気にしていないですよ」
励ますように言った江里菜の言葉がちっとも励ましになっていない。
おじさんなんて、なんで言ってしまったんだろう。
三年かけて築いた課長との信頼関係を失った気がして怖くなった。
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