― 幸せの味 ―

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「うん、ん、ふぅ」  胸の小さな突起を口に含まれ、歯列同士で軽く挟みながら、舌で舐め上げられる。  何度も、何度も、舌で、歯で快感を煽られている間に、口から引き抜かれた草悟の少し節くれだった濡れそぼった指が、紬の最奥でひっそりと閉じている蕾をするりと撫で、ほんの僅かに圧迫する。 「んんぅ」  眉をよせ、頬を紅潮させた紬を見下ろした草悟が、愉しそうに笑う。 「可愛い顔」  蕩けるようなキスを繰り返され、後口の入口を徐々に、押し開かれる。  紬は四肢を震わせ快感に耐えるが、暴走仕掛ける自身を抑える自信はなかった。 「ほら、紬、飲み込めよ」  少し乱暴にそこへ指を突き入れられる。 「ん、んん、ぅん」  必死に唇を噛み締め、声を漏らさないようにと悶える姿が、更に草悟を煽っていることになど、気付いていない。 「はぁ、ぁ、草悟、声、漏れそ」  草悟の首元へ腕を巻き付け、耳元へと唇を近づける、更に密着した二人の体の間で、お互いの熱が膨れた。 「それ、煽ってるだろ、紬」 「い、ん。そんな、こと、な」  低く蕩けた声にさえ反応し、ヒクつく入口に、遠慮なく指が増やされていく。 「ふ、うう」  草悟は紬の後ろを丁寧に慣らしながら、小刻みに中で震わせ、ポイントを探している素振りを見せる。 「んぅぅううう」  ずるっと、そこを草悟の指が掠めた。 「ここ、だな」  体が絞れる快感に紬が苦悶の表情になると、草悟は安堵したような、意地悪な子供のような顔をした。 「やん、うぅ、あぁあ、草悟それ、ヤメ」  「ヤメテ」と繰り返す紬は、背中を弓形にして、草悟の指から逃れようとするが、彼はちっとも許してくれず、更にそこばかりを突いてくる。  体の内側から止めどなく溢れる快感に、とんでもないコトを口走りそうで、紬は怯えたように、いやいやと首を振った。 「そんな仕草も、可愛いだけだし」  過ぎる快感と、逆上せるほどの熱に、紬の体が限界を訴えて、ビクリ、と硬直する。 「一度イっちまえよ」  抗えない熱が溜まる楔まで握り込まれ、声もなく悶える。 「ふんんん」  一気に煽り立てられた紬は、呆気なく果て、熱い白濁で草悟の掌を汚した。  暫くの間、解放の余韻でピクピクと体が跳ね、その度に、艶の含んだ吐息を漏らしてしまう。 「気持ち良さそうだな、紬」  耳元で笑みを含んだ囁きに、朱に染まった頬をして紬はソッポを向く。  体が痙攣したように反応している最中も、草悟は紬の体を抱き締め、時にキスをしながらも、ずっと蕾を撫で解していた。 「そ、ご」  もう限界だった。  誘うように、草悟に触れた。  掌が焼けるように熱く、大きなそれが自分の中に入り切るかと、少し不安になる。 「入れて良いのか」  草悟の確認に、紬は小さく、しかしはっきりと頷いた。  欲しかった。草悟が。  ずっと、昔から、自分の物になれば良いのにと思っていた。  紬はサイドボードから、専用の潤滑ジェルを取り出すと、草悟に手渡した。 「こんなのが出てくると、やっぱお前もやったコトがあるんだなと思うわ」  手に取りだしながら、草悟はまじまじとジェルを眺めている。 「引いた?」  少し心配になって、上目づかいで見上げた紬に、草悟は「まさか」と笑って首を振る。 「何も知らないでヤッちまったら、紬を悲惨な目に合わせそうだと思ってた所だったんだ。だから、助かる」  草悟はそう言うと、再び体を重ねてきた。そして、顔が見えないくらい近づくと、耳元でそっと、本心を見せた。 「でも、ちょっと、悔しい」 「悔しい……って」  そのままの状態で、後口にジェルを塗り込まれる。 「紬の最初が、俺じゃなくて。悔しい」  草悟の手で捏ねられていたジェルは、ほど良く彼の体温を吸っていて、紬の中で素早く馴染み、本来、湿る程度のそこを、溢れるほどに潤していく。 「そんなの、草悟も俺が初めてじゃなくて、悔しいよ」  お互い様だと微笑み会って、キスを交わした。
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