― 幸せの味 ―

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 くち、くちゅ、と、自身の下肢から濡れた音が聞こえ、草悟の指によって、さらに奥にまで塗り込められる。 「く、んん、ぅん、やあはぁ、草悟、ぁ」 「紬、足が大丈夫なら、うつ伏せな」 「ん」  指を引き抜かれただけで震える体を、紬は緩慢に捩り、言われた通りにうつ伏せた。 「楽な状態になれよ」  草悟に言われるまま、尻を高く上げる。  その姿を草悟に唆されているなんて、すでに朦朧とした意識の紬には、考えも及ばない。 「良い眺めだ。紬」 「ひぁ」  さっきまでは、解されて指を入れられていても、晒されることのなかった蕾を、草悟はでろりと濡れた掌で逆撫でた。  それだけで羞恥に揺れる紬の双丘を掴み、草悟は容赦なく、自身の熱を宛がう。 「あ、あ――――っ、くぅ、んん」 「キッつ」  ゆっくりと紬を凌駕する熱に、頭の先から爪先まで、全身が痺れる。 「紬、悪ぃ、声」  緩慢に抜き差ししながら、楔を馴染ませるように押し進める草悟の手に、口を塞がれる。 「ん、んん、ぅぅ」  何とか枕を手繰り寄せ、そこに顔を埋めた。  くぐもった嬌声は、外に発散される変わりに、紬の内側で狂ったように暴れ出す。  草悟が深く突き入れる度に、「もう無理」と首を振る。ずるりと引き抜かれる快感に、もっと欲しいと、腰を揺すった。 「すげぇな、紬。俺、お前に、喰わせてんの。それとも、喰われてんの」  草悟はからかうように浅い場所で、腰を振る。 「バッカ、それ、ぇ、んぅ、ヤメっぅ」  飲み込めない唾液が口角から、滴り落ちていく。れろっと舐め取ってみるがとても追いつかない。 「えっろいなぁ」  草悟は笑いながら、溢れだす紬の唾液を熱い舌で掬い取っては、キスを落としてくる。  草悟の揺さ振りと、埋められた熱で、もう自分がどうなっているのかも分からない。 「もっと、締めつけろよ」 「ぅんんん」  後ろから抱えられるように草悟の膝に上がり、向き合う様に体制を変えた。  左右の乳首を弄り倒され、下から突き上げられて、舌を絡ませるキスをする。 「草悟、好き。すきだよ」  熱で浮かされた紬の貌は、艶めいて草悟の欲を煽る。 「紬」  抱きしめているのか、抱きしめられているのか、互いに分からず、熱を分け合う。  その腕が、その唇が。紡いだ視線が。愛おしいと告げている。 「好き」  耳元で囁かれた声に、紬は脳を直接擽られる。 「ん、ぅうっぅっ」 「もう、好きになるのは、紬だけだ」  次第に呼吸が切迫し始め、互いの上り詰める瞬間を悟る。  息を詰めた紬に締め上げられた草悟が、同じく苦しそうにクッと息を止めた。  紬の中で草悟の熱が膨らみ、その存在をこれ以上ないほど、知らしめる。 「草…ご……っっ熱っ」  腹の奥底で爛れるような熱が放たれる。 「うぅ、つっ」  体内を逆流してくる草悟の奔流の熱さに、紬の体が何度も跳ね上がり、呼吸を止めながら、二度目の放埓で草悟の腹を濡らした。  べたべたでドロドロのままの姿で、互いの体を抱き締めあう。  荒い呼吸は、重ねあい絡み合う唇の中へと消えていく。  合わせた視線だけで微笑み、愛おしいと、優しく頬を撫で合った。
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