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金属品に宝石などが多くあった。
お洒落な人だから身だしなみに気を使い、服もたくさん持っている。
私は、その中から普段あまり使わない宝石や服を盗んだ。そして冷蔵庫に行くと食材をいくつか持っていく。
大胆に盗まないのは、足取りを遅らすため。
そして気づかれにくいからだ。
するとフッと棚にかざってある写真立てや壁に貼ってある孫の絵を見てしまう。
楽しそうに孫と写っていたり、娘夫婦との家族旅行の写真もあった。
孫の絵もへたくそだが、あたたかみがある。
何とも羨ましく胸が張り裂けそうになった。
当たり前なのだが……私は、そこに居ない。一度でも家族と撮ったことはない。
母との思い出なんて数えるほどもなかった。
だから盗んだ。少しぐらい盗んでも罰は当たらない。
あんな贅沢して幸せな家庭を持っていて1つぐらい私に譲ってくれたっていいじゃない?
無くなったってまた買えばいい。
だから私にちょうだいよ……。
そう思いながら犯行を続けた。しかし、その執着がミスを生んだ。
普通は、1回や2回やったら同じ家に上がらない。
何故なら足取りに気づかれるからだ。
たびたび金属品が無くなれば誰だっておかしいと気づくはず。
お婆さん達も宝石などがないと気付き、警察を呼んだ。
家の近くを通るとお婆さんは、警察の人と話し込んでいた。ヤバイな。
いくらバレないように手袋したり、色々と気を遣っても、もうそろそろターゲットを変えないと気づかれてしまう。するとお婆さんが私に気づいた。
「あ、香澄ちゃん……」
ギクッと肩が震えた。何故そこで私の名前を呼ぶのよ!?
お婆さんは、私のところに来ると
「あなたのところは、大丈夫?何か盗まれたりしてない?」と言ってきた。
……えっ?
「今ね。警察の人に事情を話していたのだけど、家に金属品を盗まれたのよ!
荒らされた形跡もないし、窓を壊された様子もなくて本当に不思議でね。
もしかしたらプロの泥棒じゃないかって。
香澄ちゃんも気を付けた方がいいわよ~住んでいる
アパート近くなんでしょ?
女の子の一人暮らしは、何かと物騒だから」
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