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やめなさい
「手紙を書くのは、やめなさい」
翌朝、起きてきたばかりのルカに、リツコは告げた。
「どうして? イヤだ、イヤだ」
珍しく駄々をこねる娘を見て、夫が口を挟む。
「ルカが、嫌がっているじゃないか。いいだろう? 手紙くらい」
ルカの教育は任せる。それが、夫の口癖だったのに……。
「ダメよ!」
夫には、言えない。あんな商人の言うことを間に受けた訳でもない。それでも、ルカの『手紙』をあのポストに投函する事は、躊躇われた。
とうとうルカは、泣き出してしまう。それほど、祖母に、送りたかったのだろう。あの『手紙』を。
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