【1・プロローグ】

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それは… Aさんが大学の夏休みで、実家の北海道、釧路に帰省していた時の事です。 ある日、彼女は高校時代に仲が良かった友人、何人かと久しぶりに集まりました。 そこに集まった友人たちは、それぞれ札幌の大学に進学したAさんや東京に就職した人なんかもいて、様々でした。 そして、その日…。 「いやぁ… 北海道と言っても、夏は暑いわよねぇ…。 ねぇねぇ!あの川に行ってみない?」 と言う話になり、彼女たちは自分たちの実家の町外れに有る川へと遊びに行ったそうです。 何でも、Aさんが以前いた高校では、 卒業間際の生徒たちが高校生活最後の記念に、この町外れの川へ炊事遠足に行くのが恒例行事になっていたそうで… 大学生になって久しぶりに集まったAさんたちは、 高校時代に行った、あの懐かしい川に行ってみたくなったんだそうです。 その川は、炊事遠足などに使用される、本当にのどかな場所なのですが… それは、あくまで下流でのお話。 上流は、流れも早く川底も深いので、立ち入り禁止、遊泳禁止地域になっていました。 もちろん、Aさんたちが高校時代に炊事遠足に行った時も学校側は… 「決して上流には近付かないように」と、生徒たちに指導していたそうです。 しかし、大学生になったAさんとその友人のうち何人かは… ワイワイと、はしゃぎながら、その上流へと行ってしまい… 何と! 誤って、川に落ちて溺れてしまったのです! 「た、大変だわ!」 たまたま難を逃れたAさんは、急いで周りの大人たちを呼びました! そして、溺れた友人のほとんどは、川から救い出されたのですが… 友人の一人で現在、Aさんとは別の地元大学に通うBさんだけは… とうとう見付からずに行方不明になってしまったそうです。 その後も、大人たちが懸命にBさんを捜索しましたが、結局は見付かりませんでした。 やがて… 夏休みも終わり、Aさんは大学に通うために実家の釧路から札幌へと戻りました。
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