【10・大和と茶子】

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『うん…。 私、待ってる。ずっとずっと…』 な、何と! どこからともなく、物凄く温かい声が聞こえて来たんだ! そして! その声は… 更に、僕の心に深く深く伝わって来たんだよ! 『大和君…。 実は、私…ずっと、あなたが毎日毎日、あの川べりの道で私の心に話しかけてくれている事…分かってたんだ。 でも、あの時の私は… 全然、体を動かす事ができなくて…。 声すら出せなくて…。 ただただ、あの場所に立っている事しかできなくて…。 本当に悲しくて…。 悔しくて…。 泣きたくて…。 でも… こんな私の事をずっと想って話しかけてくれている、あなたの温かい気持ちだけは、私の心に強く強く伝わって来ていたんだよ。 本当に、ありがとう。 私、あなたが来るの待ってる。 ずっとずっと…』 ああ… 茶子さん…。 君は… 初めて、僕に話しかけてくれたね…。 そして… 初めて、僕の名前を呼んでくれたね…。 「茶子さん…。 やっぱり、君は物凄く素敵な僕の初恋の相手だよ!」 僕は… 自分の胸の中が、 じんわりと温かくなって行くのを感じながら… そして、自分の体が… ゆっくりと、天に向かって昇り始めたのを感じながら… 静かに… この世から、 消えて行ったのだった…。
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