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『うん…。
私、待ってる。ずっとずっと…』
な、何と!
どこからともなく、物凄く温かい声が聞こえて来たんだ!
そして!
その声は…
更に、僕の心に深く深く伝わって来たんだよ!
『大和君…。
実は、私…ずっと、あなたが毎日毎日、あの川べりの道で私の心に話しかけてくれている事…分かってたんだ。
でも、あの時の私は…
全然、体を動かす事ができなくて…。
声すら出せなくて…。
ただただ、あの場所に立っている事しかできなくて…。
本当に悲しくて…。
悔しくて…。
泣きたくて…。
でも…
こんな私の事をずっと想って話しかけてくれている、あなたの温かい気持ちだけは、私の心に強く強く伝わって来ていたんだよ。
本当に、ありがとう。
私、あなたが来るの待ってる。
ずっとずっと…』
ああ…
茶子さん…。
君は…
初めて、僕に話しかけてくれたね…。
そして…
初めて、僕の名前を呼んでくれたね…。
「茶子さん…。
やっぱり、君は物凄く素敵な僕の初恋の相手だよ!」
僕は…
自分の胸の中が、
じんわりと温かくなって行くのを感じながら…
そして、自分の体が…
ゆっくりと、天に向かって昇り始めたのを感じながら…
静かに…
この世から、
消えて行ったのだった…。
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