【12・エピローグ】

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私は、口を開きました。 「でも…Aさん? 確か…前にあなたは、私に『Bちゃんは、色白で凄く可愛らしい子で、周りの皆から「チャコちゃん」「チャコちゃん」って、呼ばれてた』って言ってたじゃない? それ聞いた私は、てっきりBさんは女の子だとばかり思ってたんだけと… Bさんって、男の子だったの?」 すると、Aさんは 「そうなのよ。 あの子…生前は、チョコレートが大好きでさ。 いっつもチョコばっかり食べてて…それで、最初は『チョコちゃん』って、あだ名だったんだけど… それが、いつの間にか『チャコちゃん』に変わっちゃってたんだよね。 確かに、男なのに『チャコちゃん』だなんて…何か、おかしいよね。 でも、彼…色白で、本当に可愛らしい顔してるもんだから、つい『ちゃん付け』で呼んでたんだ…。 あの子、めちゃめちゃ照れてたっけな…」 と、そこまで言うと… 彼女は、急に押し黙ってしまいました…。 「そう…だったんだ…」 私も、急にしんみりとしてしまいました。 「何て、言ったら良いのか…ご愁傷様です」 「うん…。 死蝋化って凄く珍しい事みたいだから、 今、チャコちゃんの遺体はいろいろと調べられてるみたいだけど… それが終わってご両親の元に返って来たら…私も釧路に帰って、お迎えするつもりよ」 Aさんも、しんみりとした様子で言葉を続けます。 と、その時… 急に、そこで彼女は顔を上げると、 「それでね。常夏さん! 私…今朝、思い切ってあの高校の卒業アルバムをまた開いて見てみたのよ!」 と、言って来たのです。 「え?」 私は、驚きました。 Aさんの高校の卒業アルバムに写っているチャコさんの顔は… 異様に『真っ白』…。 まるで『ロウソク』… いや、『作り物のロウ人形』の様になっていて… それ以来、Aさんは高校の卒業アルバムだけは、 「同じ高校の大切な仲間の『変わり果てた姿』なんて、見たくない…」 と、見るのを止めてしまったはずです…。 「私ね!こう思ったの!」 と、彼女は言葉を続けました。 「例え…どんなに『変わり果てた姿』になったとしても… チャコちゃんは、 今でも、私と同じ高校の大切な仲間に違いないんだとね! どんな姿になったとしたって、私はそれを受け止めてあげなきゃ! ちゃんと向き合ってあげなきゃ、天国のあの子が可愛そう! って、そう考えを改めたのよ!」
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