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「そう、一緒に。透子って髪をあまり触らせてくれないから、僕は一度透子の髪を洗ってみたかったんだよね。」
そんなにっこり微笑まれても困るんです。髪だけなら好きなだけ触らせてあげるから!
考えろ、考えるんだ……アタシ。どう返せば瑞樹を不機嫌にせずに一人でお風呂に入ってもらえるのかを。
「……アタシまだ心の準備が出来てないから、出来ればもう少しだけ待って欲しいな?」
そっと瑞樹の方に頭を乗せて甘える仕草をする。アタシは我が儘を言う事は得意でも、可愛く甘える事はあまり得意じゃない。
どちらかと言えば大人びた雰囲気の容姿もあって、可愛く振る舞う事が苦手なんだ。中身がまだ十代だろ?って、瑞樹に揶揄われることがあるけれど。
「そう、じゃあ可愛くおねだり出来たし、今日は許してあげる。でもあと二日だけ、それ以上僕は待たないよ?」
アタシの頭をポンポンと叩いてから、一人でバスルームへと行ってしまった。
これはおねだりは成功したと思ってもいいのかしら?それでも与えられた猶予はたったの二日間だけ。それで心の準備をしろ、だなんて……やっぱり瑞樹はどSに違いない。
「どうしよっかぁ……さるぼぼちゃん?」
机の上のさるぼぼに話しかける。そういえば瑞樹はさるぼぼの色に意味があるとか言っていたっけ?
このオレンジ色のさるぼぼはどんな意味なのだろう?祥子はどんな気持ちを込めてこの子をアタシに送ってくれたのだろう?
スマホを指でタップして「さるぼぼ オレンジ」と入力して検索。すぐに同じ色のさるぼぼの大きなぬいぐるみが画面に表示される。
えーっと、風水ラッキーカラー?これの事かしら?
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